第265章

大山部長も海千山千の古狸だ。黒田祥太が姿を見せた時点で、彼が中村奈々という部下の後ろ盾として乗り込んできたことは一目瞭然だった。

このお嬢ちゃんに強力なバックがついていることを見抜けないようでは、長年この椅子に座っていられない。

黒田家の御曹司が二人も揃った手前、本来なら適当にお茶を濁して事態を収拾したかったのだが、中村奈々という女は予想以上に一筋縄ではいかず、白黒つけなければ気が済まないらしい。

彼は先ほどまでの役人めいた口調を改め、婉曲に切り出した。

「同僚から告発があったのだよ。君が怪我の一件を利用して有川社長を脅迫し、個人的に高額な『賠償金』を受け取っているとな」

それを聞...

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