第279章

塗り直されたばかりのキッチンを目にして、彼女は呆気にとられ、しばらく言葉を失っていた。

「あんたたち……この家を解体でもするつもり?」

山下富美子はカップ麺を豪快に啜り、もごもごとした口調で答える。

「あの子がさ、うっかりスマホを電子レンジに入れちゃったんだよ。そしたらボンッて……」

中村奈々の顔色がさっと青ざめた。

「怪我は!?」

「体は平気。ただ瀬那のやつ、責任感じちゃってさ。もうここにはいられないって」

富美子は残りの麺を三口で平らげ、スープまで一滴残らず飲み干すと、空の容器をゴミ箱へ放り投げた。口元を手の甲で拭う。

「ちょっと二階、見てくるわ」

「うん、ちゃんと話し...

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