第32章 高木先生

中村奈々は、小さく「はい」と頷いた。「高木先生の作品は、うちの画廊がずっと切望しておりまして。ぜひ挑戦してみたいんです」

彼女の願いを聞き、高橋文也はしばし考え込んだ後、言った。「分かった。連絡は取ってやる。だが、最終的にどうなるかは、君自身の頑張り次第だぞ」

「高橋先生、ありがとうございます!」中村奈々は心から礼を言った。

二日後、高橋文也から一つの住所が送られてきた。高木昭のアトリエだという。直接会って話すようにとのことだった。

身支度を整えると、中村奈々はすぐさまアトリエへと向かった。

アトリエは南城のプライベートヴィラエリアにあり、車が敷地内に入ると、中村奈々は木々に囲まれ...

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