第35章 結婚することにしました

彼の声は嗄れ、まるで獣の咆哮のようだった。

前回ここで彼女を求めて以来、彼は久しくその欲を解放していなかった。

「やめ……お願い、やめて」

男の唇が彼女の首筋と鎖骨を滑り、灼熱の大きな掌が薄い紗越しに彼女の敏感な場所に触れる。

中村奈々の身体が強張り、堪えきれず身を捩った。

黒田謙志の瞳がさらに深みを増す。彼は身を屈め、中村奈々の胸の突起を口に含み、力強く吸い付いた。

中村奈々は痛みに息を呑み、顔面を蒼白にさせ、その眼差しに懇願の色を浮かべた。

彼女はひっきりなしに首を振り、涙の玉がはらはらと零れ落ちる。その涙に濡れた姿は、人の心を動かさずにはいられない。

黒田謙志は彼女のそ...

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