第37章 ごめん、騙した

黒田謙志はビジネスパーティーに参加していた。そこへ、ネットのニュースを見た山本大賀が慌てて駆けつけ、中村奈々の件を彼に伝えた。

黒田謙志はすぐさま眉をひそめ、冷たく鼻を鳴らした。「あの女、強情だろう?しばらく放っておけ。少し痛い目に遭わせてやれば、おとなしくなって俺に泣きついてくる」

「もし、来なかったらどうしますか?」山本大賀は少し躊躇いがちに尋ねた。

黒田謙志の瞳に鋭い光が走る。「あいつは画廊の仕事を惜しむはずだ。見ていればいい」

山本大賀は少し不憫に思ったが、自社の社長の性格上、一度決めたことは誰が説得しても無駄だと知っていた。

「承知いたしました。では、私はこれで失礼します...

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