第38章 あなたの幸せを願う

高橋文也は、心を込めて描き上げた一枚の絵で、彼にとって最大級の告白をした。

中村奈々は呆然と立ち尽くした。

これほどロマンティックで、美しい絵画に、彼女の心は震えた。

彼女も絵を学んだ身だ。高橋文也が描いた一本一本の線が、いかに心を込めて引かれ、彼の強烈な感情が込められているか、見て取れないはずがない。

彼女はこれまで、これ以上に美しい絵を見たことがなかった。まるで、かつての明るく活発だった中村奈々が生き返ったかのようだ。しかし、年齢を見ると学生時代の彼女ではなく、もう少し年を重ねた自分のように見える。

彼は絵を通して彼女を祝福し、彼女がいつも楽しく、希望に満ち溢れてい...

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