第152章

新谷卿華は立花馨を見据えた。視線の奥に、値踏みするような冷たさが滲む。

立花馨はその目を避け、平静を装って言い張る。

「これは郁夜の最後の願いなの。お兄ちゃんももう了承したんだよ。今ここで電話なんかしたら、あなたがただのわがままに見えるだけ」

荒唐無稽だ、と新谷卿華は思った。

さっきの立花真淵の態度は、これ以上ないほど明確だった。あの男が須藤郁夜と密かに会うはずがない。

廊下の少し先。トイレから出てきた高山峰が、ふと足を止める。

立花馨の言葉が、耳に入った。

須藤郁夜と立花真淵が一緒にいる?

心臓が、どくんと強く鳴った。

高山峰は知っている。今の立花真淵が、どれほど容赦のな...

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