第153章

「ありえない!」

立花馨の耳には、もう何も入ってこなかった。脳裏に浮かぶのは、須藤郁夜が絶望して命を絶つ光景――それだけ。

須藤郁夜は今日、一日中言っていた。これは自分が海市で迎える最後の誕生日だ、と。もともと心が崩れかけている。もし立花真淵が彼女にきつい言葉でも投げたなら、郁夜は本当に――取り返しのつかないことをするかもしれない。

立花馨の目は真っ赤に染まり、感情は完全に制御を失っていた。彼女は振り返ると、新谷卿華を睨みつける。

「全部、あんたのせいよ!」

立花馨は指を突きつけ、鼻先を刺す勢いで怒鳴った。甲高い声が耳に痛い。

「お兄ちゃんを独り占めしてるから、郁夜がここまで追い...

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