第22章

彼女が幼いころに引き取られた孤児院の院長だ。小さい頃から、ことさら目をかけてもらってきた。

新谷卿華は深く息を吸い込み、乱れた呼吸をどうにか整える。通話ボタンをスライドし、できるだけ明るく弾む声を作った。

「院長ママ」

『卿華かい。こんな遅い時間に、休みを邪魔してないかい?』

受話口の向こうから届いたのは、年輪を刻んだやわらかな声。慈しみの温度が、そのまま言葉になっていた。

『最近、急に冷えてきただろう。体はどうだい。仕事は忙しくないかい?』

その久しぶりの気遣いに、新谷卿華の鼻の奥がつんと熱くなる。

この三年、院長を心配させたくなくて、彼女はほとんど孤児院へ帰らなかった。電話...

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