第37章

車内は暖房が効きすぎるほどで、こもった空気の奥に、立花真淵の纏う冷ややかな杉の香りが混じっていた。

新谷卿華は助手席のレザーシートに身を沈め、顔だけを窓へ向ける。外の街並みが、流れるように後ろへ飛んでいった。

血の気のない横顔。唇をきゅっと結んだまま、下腹にじわりと重い痛みが居座っているせいで、呼吸さえ意識して浅くなる。

立花真淵はハンドルを両手で握り締め、骨張った指の節が白い。横目で彼女の、あからさまに心を閉ざした横顔を捉えた瞬間、胸の奥の名もない苛立ちは収まるどころか、さらに燃え上がった。

三年間、卿華は従順だった。機嫌を伺い、笑って、折れてきた。

なのに今は――彼の人生から完...

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