第39章

新谷卿華は小さく頷いた。

「いい話ね。あなたの懸念は何?」

羽田糸は彼女を見つめ、唇を噛んでから、重い言葉を絞り出す。

「案件の規模が大きすぎるの。ヨーロッパ側の要求も異様に厳しい。うち――星川の今の独立ラインじゃ、この生産量を飲み込めない。短期間で品質も数量も揃えて納品するとなると、国内で供給網が回せるのは……一社だけ」

新谷卿華の瞳がわずかに揺れた。答えは、もう胸の中にある。

「立花グループ」

羽田糸はその名を口にした途端、眉間の皺をさらに深くした。

「相手が指定してる特殊生地、国内の特許と加工権が全部、立花グループ傘下の繊維重工に握られてる。つまりこの案件を取るなら、どう...

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