第51章

彼が元の席へ戻ろうとした、そのときだった。足が不意にぴたりと止まる。

本来、新谷卿華が座るはずの席に、今は須藤郁夜が腰かけていた。

グラスを片手に、彼女は隣のブランド関係者へにこやかに話しかけている。その佇まいは、まるでこの場の女主人そのものだった。

金田川浬は眉をきつく寄せた。レンズの奥の目が、すっと冷える。媚びるように向けられた須藤郁夜の笑みなど一顧だにせず、彼は素早く会場を見回した。

ほどなくして、宴会場のいちばん後ろ――照明の届きにくい薄暗い隅に、ぽつんとひとり座る新谷卿華を見つける。

その瞬間、金田川浬の顔色は凍りついた。

この業界の見えない序列も、あからさまなやり口も...

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