第52章

自分の頬にそっと触れる。さっき受けた平手のひりつきが、まだ奥でじくじくと疼いている気がした。

けれど今回、刺すように痛むのは頬じゃない。胸の奥――どこをどう言葉にすればいいのかもわからない場所だ。

宴会場。前列の主卓。

金田川浬は席に座ったまま、耳元で須藤郁夜のわざとらしい笑い声と、周囲の薄っぺらい持ち上げを浴びていた。

眉間に深い皺が刻まれる。栄養のない社交にうんざりしながら、意識だけはずっと後方の新谷卿華に引っ張られていた。

薄着のままだ。しかも胃が弱い。あんな閑散とした隅に一人で座らせて――平気なはずがない。

グラスが上がって視線が散る、その一瞬を狙って金田川浬は顔を横に向...

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