第65章

少女の両親も目を丸くし、何度も頭を下げた。

「本当にありがとうございます! あなたがいなかったら、今日の検査、どうすればいいか……。その腕前、すごすぎます!」

「大したことじゃありません。さあ、お子さんを検査へ連れていってくださいね」

新谷卿華は穏やかな声でそう言った。

三人が遠ざかっていく背中を見送りながら、廊下の白い蛍光灯が新谷卿華の肩にさらりと落ちる。

彼女はその場に静かに立ち尽くした。澄んだ瞳の奥に、隠しきれない翳りがじわりと滲む。

指先には、さっき抱きしめた人形の柔らかい感触がまだ残っている気がした。なのに胸の奥は、何かにそっと刺されたみたいにちくりと痛み、長く尾を引く...

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