第68章

立花馨は大げさな称賛の声を聞き流しながら、眉をわずかに寄せた。ハイヒールで人だかりをかき分け、するりと輪の中へ入る。

「なに見てるの。ずいぶん賑やかじゃない」

身を乗り出し、服部ココのデスクに置かれたタブレットを覗き込む。画面に映っていたのは、東洋の刺繍テイストを溶かし込んだ、デコンストラクション風のイブニングドレス。

切り替えは鋭く、余白は計算し尽くされている。埃ひとつ寄せつけないような冷ややかさと、凛とした気品。

たった一目で、立花馨の瞳の奥に濃い嫉妬が走った。

彼女もデザインを学んでいる。だからこそ、この稿の価値がわかる。

それに比べ、手の中でくしゃりと握っている新谷卿華の...

ログインして続きを読む