第2章
ヴィニーは、前屈みの姿勢のまま石のように固まっていた。刃物を握りしめたその手が、小刻みに震えているのが見て取れる。
再びドアが叩かれた。さっきよりも切迫した響きだ。
「開けろ! トミーだ!」
トミー? ソフィアの彼氏だ。
そのノックのリズムは奇妙で、まるで何かの合図のようだった。
ヴィニーは小さく咳払いを二つすると、素早く白いシャツを羽織り、あの血塗れの刃物を背後に隠して玄関へと向かった。
もし二人が揉み合いになれば、その混乱に乗じて逃げられるかもしれない。私はそう考え、ベッドの端へと音もなく身を寄せた。いつでも飛び出せるように。
階下でヴィニーがドアを開ける音がした。続いて、男のしわがれた声が響く。「手間取ったな。すぐ済ませるんじゃなかったのか?」
心臓が凍りついた。トミーという男は、彼がここで何をしているか知っていたのだ! これは突発的な浮気の発覚などではない。二人の共謀だったのだと気づき、私は戦慄した。
足音が階段を上ってくる。トミーが寝室に入ってきた気配がした。
「クソッ!」トミーの声が裏返った。
「気が狂ったのか? ただ楽しませてやるって話だっただろう。殺してどうする!」
ヴィニーの声は不気味なほど落ち着いていた。「彼女は知りすぎた。ファミリーの掟は知っているだろう?」
「掟? ふざけるな!」トミーの声が震えている。「俺はただ、お前に味見をさせてやりたかっただけだ。殺しなんて頼んでない!」
「騒ぐな、トミー」ヴィニーはいらだたしげに言った。「人殺しなんて俺たちには朝飯前だ。いいから、さっさと死体を片付けろ。FBIに嗅ぎつけられるぞ」
ドサリと重い音がした。トミーが腰を抜かしたのだろう。彼は過呼吸のように荒い息をついている。
「嫌だ!」トミーが怒号を上げた。「お前がやったことだろ! 自分で片付けろ!」
直後、金属的な音が響いた。ヴィニーが刃物をトミーの喉元に突きつけたに違いない。
「お前に選択肢はないんだよ、トミー」ヴィニーの声は凍りつくように冷たかった。「手伝うか、それともお前も彼らの仲間入りをするかだ」
恐怖で言葉を失っていたトミーだったが、しばらくして、消え入りそうな声で答えた。「わ、わかったよ……」
足音がベッドの方へ近づいてくる。ソフィアの遺体を目の当たりにしたトミーは、その場で嘔吐した。
「使えない野郎だ」ヴィニーが蔑むように吐き捨てた。何かを手に取り、部屋を出ていく気配がする。
その時だ。片付けようと屈み込んだトミーが、ベッドの下にいる私に気づいた。
視線が交差する。恐怖で悲鳴を上げそうになった。
トミーはドアの方をちらりと確認すると、人差し指を口に当てて「シーッ」と合図し、声を出さずに唇だけを動かした。「逃げろ。警察へ」
私は必死に頷き、泣き出しそうなほどの感謝を覚えた。
トミーは咳き込んだり、椅子を蹴ったり、重い物を引きずったりして、わざと大きな音を立て始めた。
その騒音に紛れ、私は慎重にベッドの下から這い出した。
床は血の海で、ぬるりとした感触が伝わってくる。
靴を手に提げ、裸足のまま玄関へと忍び足で進む。一歩進むごとに、ヴィニーが台所から飛び出してこないかと怯えながら振り返った。
ようやく外に出ると、夜風が頬を打った。頭にこびりついた血は乾いて固まり、まるで黒い帽子だ。
後ろで物音がした気がして、私は転がるように階段を駆け下りた。
B棟からE棟まで、息もつかずに走り抜けた。中庭を横切る際、石に躓きそうになる。階段を上る頃には足がすくみ、鍵を落としそうになった。
どうにかドアを開けて家の中に飛び込み、鍵をかけると、壁に背を預けてその場にへたり込んだ。
これが悪夢であることを願って、自分の頭を何度も叩く。
だが、いくら叩いても現実は変わらない。
あの温厚で優雅な夫、ヴィニーは、冷酷な殺人鬼だったのだ。あの手慣れた様子からして、初めての犯行ではないはずだ。
ふと、数日前にヴィニーの車で見つけた口紅のことを思い出した。ソフィアが愛用していたブランドと全く同じものだった。
当時の私は、ヴィニーが裏切るはずがないと信じ込み、ソフィアは彼の好みではないと高を括っていた。今思えば、なんと愚かだったことか。
実は、予兆はずっと前からあったのだ。
数ヶ月前、ヴィニーが熟睡している隙に彼の私物を探ったことがある。金庫の中に、奇妙な写真や手紙が隠されていた。
その写真は嘔吐を催すほどおぞましいものだった――赤毛の少女たちが拷問され、切断され、バラバラにされた凄惨な光景。そして被害者たちは皆、私と同じ赤毛だったのだ。
ソフィアからヴィニーへのメッセージも見つけてしまった。「ヴィニー、明日の夜待ってるわ。絶対に来てね」扇情的な写真と共に、ヴィニーに対して「あなたの奥さんには絶対に無理な快感をあげる」と書かれていた。
それを見た時、私は胸が張り裂けるほど泣いた。
最も信頼していた従姉が私を裏切り、夫を誘惑していたなんて。だから今日、私はわざわざ仕事を休み、現場を押さえて問い詰めるつもりだったのだ。
まさかヴィニーが人を殺すなんて、思いもしなかった。
今、頭の中は疑問で溢れかえっている。
なぜヴィニーは関係を続けるのではなく、ソフィアを殺したのか?
トミーは最初から知っていたのに、なぜ止めずに共犯者となったのか?
髪を掻きむしりながら考えるが、思考はまとまらない。
衝撃が少し引くと、警察に通報しなければという理性が戻ってきた。でなければトミーまで殺されてしまう。まだ血のこびりついた震える手で受話器を取った。
「911、何の緊急ですか?」オペレーターの落ち着いた声が応答した。
口を開こうとしたその時、玄関のドアが開く音がした。
心臓が止まるかと思った。なぜ、こんなに早く帰ってきたの?
私は慌てて口を押さえ、音を立てないように電話を切った。
足音が近づいてくる。私は急いで寝起きを装い、目を擦りながらソファから身を起こした。
「ベラ、こんな遅くまで起きていたのかい?」ヴィニーが歩み寄り、優しく問いかける。「さっき、誰かと電話していなかったか?」
血の気が引いていくのがわかった。全身の震えが止まらない。「喉が渇いて……水を飲もうと……」
ヴィニーはすでに清潔な服に着替えていた。その姿は温厚で知的、さっきの殺戮現場にいた悪魔とは似ても似つかない。
だが、彼は目を細めて私を凝視すると、突然尋ねた。
「ベラ、どうして額に血がついているんだ?」
