第155章 誰にも借りはない

夏目凛はローテーブルの上に置かれた白い小箱を、二秒ほどじっと見つめてから視線を外した。

「彩花、考えすぎだよ」

嘘をついているとは思えないほど、声は落ち着いていた。

「お兄さんが高坂修治さんにご飯をご馳走したのは、男同士で裁判に勝ったお祝いをしただけ。私とは何の関係もない。弁護士費用の件は、高坂さんが勘違いしたかもしれないし……お兄さんが『妹の友だちのために動いてくれた』ってことで、顔を立てただけかもしれない。ほんと、それだけの話」

電話の向こうで、橘彩花が「ふん」と鼻で笑う。

「凛、自分で信じてる?」

「信じてる」

「は?」

「彩花、私は離婚したばかりで、今は他のことを考え...

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