第23章 主寝室に入る

そのときだった。階段の踊り場から、甘くやわらかな声が落ちてきて、息の詰まる対峙をふっと断ち切る。

「礼二、帰ってきたの?」

名取心美は淡いピンクのシルクのネグリジェ姿で、長い髪をほどいたまま、裸足で二階から降りてきた。

壁際へ追い詰められている国分凛の姿を目にすると、心美は親しげに歩み寄り、ごく自然に国分礼二の腕へ手を絡めようとする。

「ずっと待ってたの。部屋も片づけておいたし、あなた……」

礼二は彼女を見るなり、目の奥に渦巻く殺気をわずかに引っ込めた。とはいえ、まとわりつくような低気圧はそのまま、背筋が冷える。

国分凛を押さえつけていた手を放す。だが完全に逃がす気はないのか、身...

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