第26章 注文する

国分凛は彼を見つめたまま、いいとも悪いとも言わなかった。

ただ、彼女は手を伸ばし、自分の手首を掴んでいるその手を、一本ずつ、ていねいにほどいていく。

礼二は掌がすうっと空になった気がした。残っていた体温が一瞬で消え、胸の奥までぽっかり欠ける。

「国分社長、ほかにご用件がないなら失礼します」

凛はテーブルに置いてあった、空になった保温容器を持ち上げる。

「……まだ飯、食ってないだろ」

礼二の口から、勝手に言葉がこぼれた。

言い終えて、自分で自分に引っかかる。

違う。心配してるわけじゃない。

ただ……ただ、癖だ。彼女の全部を管理したい。食べるか食べないか、いつ食べるかまで。

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