第28章 離婚協議書

名取心美は彼の背を追い、慌てて前に回り込むと、そっと腕に縋りついた。泣き声まじりで、震えている。

「礼二、凛おねえちゃんとケンカしないで……部屋に戻ろ?」

そう言うなり、名取心美は国分礼二の腕を引いて連れていった。

……

数分後。

国分凛は、廊下の足音がだんだん遠ざかり、やがて主寝室の扉が閉まる音を聞いた。

ヘッドホンを外し、張っていたこめかみを指で揉む。

水を飲もう。キッチンへ――。

階段口まで来たところで、目の前の光景に足が止まった。

リビングの灯りは落とされ、薄暗い。

国分礼二が、名取心美をキッチンへ続く壁に押しつけていた。

片手は壁をつき、もう片手で彼女の顎をつ...

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