第48章 彼女は去った

名取心美の悲鳴が、別荘に満ちた死んだような静けさを切り裂いた。

国分礼二はその声に刺されるようにして我に返り、掴んでいた手首の力がふっと緩む。

名取心美はすかさず、赤く腫れた手首を引っ込めた。

おずおずと近づき、探るように口を開く。

「礼二……もしかして……凛おねえちゃんに、また何か言われたの?」

「……出ていった」

国分礼二の声は嗄れていて、感情の起伏が読み取れない。

「退院した。荷物も全部、持っていった」

名取心美の胸がどくんと跳ねる。

出ていった?

あの女が、本当に?

込み上げる歓喜が形になるより先に、国分礼二が鼻で笑った。冷ややかな嘲りを混ぜて。

「度胸がつい...

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