第51章 彼女に恋したのか

「若様、コピーではございません」

「原本だ」

「……若様と国分さんの、ご署名が入っております。直筆で」

受話器越しの執事の言葉が、国分礼二の神経を容赦なく叩いた。

原本?

直筆?

「ありえない!」礼二の怒鳴り声が、今にも受話器を割りそうだった。「俺がこんなものにサインした覚えはない! あいつの捏造だ! 俺の署名を偽造して、じいさんを騙しやがったんだ!」

自分の署名には絶対の自信があった。最高峰の鑑定士ですら真似できない――そう信じてきた。それを、夏目凛ごときが? どうやって? いや、どういう神経で?

この女は、俺を屈服させるためなら手段を選ばない。

「若様……」電話の向こう...

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