第54章 彼女を追い詰めたのは私だ

国分浩義の言葉に、国分礼二はまるで氷漬けにされたみたいに全身が固まった。息の仕方さえ忘れたように、膝の下の床だけがやけに冷たい。

「……自分がいちばん嫌っていた姿に、なり下がった」

国分礼二は床に跪いたまま、背中がひりひりと焼けるように痛んでいた。だがそんな皮膚の痛みなんかより、その一言が突き刺した屈辱のほうが、何倍も深い。

俺が嫌っていた姿?

俺が……父さんみたいな男に? そんなはずがない。俺は――俺はただ……心美に対する負い目を埋めようとしただけだ。

「違う!」礼二は勢いよく顔を上げた。目の奥は血走り、声は掠れている。「俺は親父とは違う! 凛を傷つけようなんて、一度も思ったこと...

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