第59章 新人の心得

コピー室で、夏目凛は無表情のまま書類を差し込み口にセットし、部数を指定してスタートボタンを押した。

まぶたすら上げない。五十部すべてが吐き出されるのを、ただ静かに待つ。

刷り上がった紙束をきちんと揃え、胸に抱えて振り返る。

抱えたまま、一歩、また一歩。コピー室を出た。

デスクに戻ると、さっきの女性社員の机へ書類を置く。とん、と乾いた音。

「頼まれた書類です」

「私の職種はデザイナーです」夏目凛の冷えた声が、執務室の空気を切り裂くように澄んだ。「担当するのはプロジェクトとデザイン画。コピーや雑用がデザイナーの業務に含まれるなら、会社の制度資料で、その条項を示してください」

「あな...

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