第6章

 あの縁石から降りた記憶がない。さっきまで地面にいたはずなのに、次の瞬間にはハンドルを握っていて、赤信号を立て続けに三つも無視していた。ダニエルの高台の別荘の前でブレーキを叩きつけるように踏み込んだ。

 ドアを押し開けた瞬間、雷雲のような顔をしたダニエルが、ドライバーを握りしめて立っているのが見えた。目の前のガラステーブルには、砕かれた黒い極小の部品がいくつも散らばっている。

「お前の言ったとおりだ。電話で言ったこと――全部、正しかった」

 ダニエルは顔を上げた。目の奥に殺意を宿し、私に向かって小さなピンホールカメラを放り投げてきた。

「プールのフィルターの表示灯、更衣室の換気口……...

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