第117章

山田澪は彼を見つめ、数秒後、携帯電話を取り出して入力した。「お金を払うから、福江お婆さんを戻らせてくれるの?」

「もちろんさ、面倒を見てくれる人がいれば、俺の負担も減るってもんだ。若奥様と母さんの仲がそんなに良いなら、少しお金を出して援助してくれても問題ないだろう?」福江悟志は笑いながら言った。

山田澪は少し黙ってから、また入力を続けた。「福江お婆さんを連れてきたら、お金を払うわ」

福江悟志の顔から笑みが消えた。彼は不機嫌そうに言った。「あの年じゃ、あっちこっち動くのは大変だろう。先にお金をくれれば、すぐに連れてくるよ」

山田澪は彼を信じなかった。福江お婆さんは以前、彼が底なし沼のよ...

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