第121章

小林進は北村健の後ろについて歩きながら、不安そうに隣の社長をちらりと見た。しかし、相手の顔からは何も読み取れなかった。

ただ周囲の温度が少し下がったように感じるだけだった。

小林進は何か言おうとしたが、北村健はすでに背を向けて歩き出していたので、慌てて後を追うしかなかった。

北村誠の指導のもと、山田澪はすでにプリンターの使い方を覚えていた。彼女は振り返って手話で「ありがとう、もう大丈夫です」と伝えた。

北村誠は微笑みながら頷いた。「よし、じゃあ先に失礼します」

山田澪は頷き、彼が去っていくのを見送った。

二人のやり取りは多くの人の目に留まっていた。小鳥遊真央は彼女の資料を急かそう...

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