第126章

山田澪は一瞬固まった。彼の冷たい口調が、胸に何故か息苦しさを感じさせた。

「こんなに離婚したいのか?ここでまた芝居打ってるんだな。山田澪、お前がこんな演技派だったなんて今まで気づかなかったよ」北村健が言った。

彼女は指に力が入り、どうしていいかわからずに彼を見つめた。

彼の言うことは間違っていない。確かに彼女はよく離婚を考えることがあった。一人でいるとき、彼が夏目彩を偏愛しているのを見たとき、そして夜になると。

そんなときは考えが極端になりがちで、人が寝る前に決めたことと同じように、翌日になるとたいてい後悔するのだ。

工藤弁護士のところでも、離婚のことを聞こうと思ったが、翌日には福...

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