第154章

「わかりました、すぐに手配します」

この数件の投資案件を出したことで、会社の流動資金のほぼ五十パーセントが占められてしまった。引き延ばせば引き延ばすほど、損失のリスクは大きくなる。

もし他のプロジェクトでも問題が発生すれば、資金繰りが万一途切れた場合、会社は窮地に立たされることになる。

北村誠がオフィスを出た後、彼は手元の書類に目を通した。

これは一昨日渡された書類と何ら変わりなく、修正された箇所もほとんどないのに、今回に限って承認された。

これは何を意味するのか?

彼が真剣に見ていなかったのか、それとも……

でもどうでもいい、どのみち自分で署名したのだから。

北村誠は目を光...

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