第156章

彼は目をじっとドアに向けたまま、何を考えているのかわからなかった。

山田澪が着替えを終えて出てきた時、リビングには彼がいなかった。

コーヒーテーブルの上には彼女の携帯電話が置かれていた。

山田澪は佐藤凛のことが気がかりで、北村誠が何か企んでいるのかを推測する余裕もなかった。彼女は携帯電話を手に取り、ドアを開けて外へ出た。

ここはエレベーターホールだった。彼女がいるのは32階の最上階で、エレベーターで1階まで降りたが、佐藤凛の姿は見当たらなかった。

何かを思いついたのか、彼女は再びエレベーターに乗り込み、地下駐車場へと向かった。

エレベーターを出ると、彼女は辺りを見渡し、少し離れた...