第182章

車窓の外から光が差し込み、彼女の身体を照らしていた。まるで彼女の輪郭が夢幻的な光に縁取られているかのようだった。

「兄貴、何見てんの?兄貴!」

少年が声を張り上げると、大場雅人はハッと我に返った。彼は急いで車に這い上がり、山田澪を引きずり出した。

「おい、大丈夫か?」

山田澪はぼんやりと目を開けた。目の前の顔がぼやけて見え、はっきり見えない。耳元でブンブンという音が聞こえるだけで、彼女は再び力なく目を閉じた。

「兄貴、彼女ヤバそうだけど、病院行った方がいいんじゃない?」

大場雅人は少し躊躇った後、腕の中で息も絶え絶えの彼女を見て、歯を食いしばった。「俺の車持ってこい!」

「了解...

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