第30章

彼女は自分が意地を張っているのかどうかわからなかった。でも彼の無関心さ、彼がお腹の赤ちゃんを好きになってくれないことを考えると、この息苦しい場所から逃げ出したくなった。

そんな時、山田澪の携帯電話が突然震えだした。

彼女は携帯電話を取り出して見ると、佐藤凛からのメッセージだった。

山田澪は北村健を見た。彼もまた彼女の携帯電話を見つめていた。山田澪が反応する前に、彼は直接彼女の携帯電話を奪い取り、メッセージを開いた。

佐藤凛:「澪ちゃん、俺、謹慎処分くらっちゃった。喫茶店も捜査入ったよ。俺の絵はダメになったけど、お前の肖像画だけは命がけで守ったぜ。送ったから、受け取っておいてく...

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