第58章

「まだ彼女と世界一周旅行に行きたいの?ふん、山田澪、二十年経っても懐かないのね?」

山田澪はまつ毛を震わせた。なぜ彼は何でも知っているの?

彼女は突然思い出した。朝起きたとき、携帯電話はフル充電だった。

彼は......

携帯電話に細工をしたのだ。

だから彼がこんなにタイミングよく現れたのも納得がいく。

山田澪は呼吸が少し困難になり、顔がだんだん赤くなっていった。彼女は目を見開いて頭上に迫る顔を見つめ、目の縁が少しずつ赤くなっていった。

生まれつき無邪気な目をしていた。可愛いというのとは違う。むしろ容姿は可愛いとは縁遠かった。誰もが初めて見たとき、可愛いとは思わず、無邪気さこそ...

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