第63章

電気をつけたままだったため、北村健一は彼女の顔がしわくちゃになっているのを見て、動きを止めた。

彼は山田澪の手首をつかみ、パジャマの袖をめくって確認した。肘が擦りむけていて、大きなあざができていた。

さらに襟元を開くと、肩にもあざができていた。

北村健は顔を上げて彼女を見た。山田澪は目を閉じ、唇が少し開いていて、しばらくして痛みから回復したようだった。

「薬塗ってないのか?」北村健は絆創膏をはがし、彼女が薬を塗っていないことに気づいた。

山田澪は目を開け、顔から苦痛の色を隠して手話で伝えた。「大丈夫です、たいしたことないです」

彼女は赤ちゃんへの影響を恐れて、むやみに薬を塗ること...

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