第66章

山田澪は車から降り、北村誠に続いてリビングへ向かった。

玄関に立っていた北村優子は、北村誠の帰宅を見るなり、すぐに腕を絡めた。「どうしてそんなに時間がかかったの?」

北村誠は答えた。「道が少し混んでいたんだ」

北村優子は彼の後ろにいる山田澪をちらりと見た。北村奥さんの頼みでなければ、北村誠に山田澪を迎えに行かせたくもなかった。

この口のきけない女、話せないくせに、あの目つきで人を誘うのは手慣れたもの。北村優子はそれを見るたびに、あの目を抉り取ってやりたくなった!

「さあ入って、お母さんが中で待ってるわ」

北村優子は北村誠を連れて中へ進み、数歩行ってから振り返って山田澪を見た。「お...

ログインして続きを読む