第23章

ドアが静かに閉まっても、千枝はその場に立ち尽くしていた。

『全部君の言う通りにする』

その言葉が、耳の奥で何度もリフレインしている。

頬がじわじわと熱を帯びていくのを感じた。胸の奥が、妙にざわついている。

だが、それがどんな感情なのかを理解する前に、着信音が部屋に響き渡った。

少し苛立ちながらスマホを手に取る。

「もしもし。こんな遅くに何の用?」

「千枝、起こしちゃった? 社員寮って、他にも同僚がいるの?」

和也の声はひどく小さく、どこか顔色を窺うような響きがあった。

千枝は「うん」とだけ返し、それ以上説明するつもりはなかった。

こんな豪華な部屋に住んでいると知られたら、...

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