第44章

キッチンからガチャガチャと物音が聞こえてきて、悠は小さくため息をついた。千枝の機嫌が悪いのはわかっていた。

先ほど偶然耳にしてしまった会話の内容を思い出し、彼の表情が数度冷たくなる。

千枝が和也と別れるのは大歓迎だが、あの和也のことだ……。

悠は冷笑を漏らした。

チャイムが鳴り、彼は冷たい顔のままドアを開け、外にいる人物に直接手を差し出した。

「薬を。ありがとう」

ドアの外にいた女は、目を飛び出さんばかりに見開いて悠を見ていた。

彼女は驚愕の表情で尋ねた。

「あの、ここはハッキュウ宝飾の社員寮ですよね? あなたは九条社長でいらっしゃいますか?」

悠は目の前の女を見て、即座に...

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