第45章

「九条社長、本当に料理がお上手なのね。ごちそうさま」薫は食事を進めながら褒めちぎる。

「悠と呼び捨てで構いませんよ」悠は穏やかな表情を浮かべた。「下ごしらえはすべて千枝がやってくれました。私はただ炒めただけですから、彼女が一番大変だったんです」

その言葉を聞いて、薫の胸のうちはさらに温かくなった。

悠はこんなにも温厚で紳士的なのに、どうして鬼だの悪魔だのと噂されているのだろうか。

彼女は傍らに置かれたワインに目を向けた。「九条社長、いや、悠さん。今日は初対面だし、少し飲まない?」

「私がお付き合いします。彼女は今、抗生物質を飲んでいるので、お酒は控えないといけないんです」悠はデキャ...

ログインして続きを読む