第五十六章

千枝は宣言通り、悠のために甲斐甲斐しくお茶を淹れたり、使い捨てのタオルを買ってきて顔を拭いてやったりした。

彼が痛がるのではないかと心配し、看護師にも「絶対に優しくしてください」と念を押すほどだった。

若い看護師は口元を隠してくすくすと笑う。

「こんなに綺麗で優しい彼女さんがいて羨ましいです。お二人の仲の良さ、憧れちゃいますね」

「違いますよ」

千枝は慌てて首を横に振った。

すると、今まで黙っていた悠がふいに口を開いた。

「ええ、とても気の利く子です」

看護師は千枝の肩をぽんと叩いた。

「それじゃあ、私はこれで。何かあったら呼んでくださいね」

千枝は顔を真っ赤にして、否定...

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