第104章 これはあなたの娘

佐藤茜は自嘲気味にそう言うと、原田麻友に向き直った。

「彼女の戯言を信じないで。兄さんのはただの一時の癇癪だから。私は別に善人じゃないけど、馬鹿でもない」

「江城市における原田家の地位を考えれば、一時の感情で原田家を敵に回すなんてこと、するわけないでしょ?」

「私たち佐藤家は、原田日菜の生年月日と生まれた時刻を鬼の廟に祀るつもりなんてないわ」

「それに、彼女の生年月日と時刻が鬼の廟にあることは、とっくに知ってるんだから。今更そんなことする意味がないじゃない」

「原田日菜の言うこと、信じないで」

佐藤茜は焦りと怒りを滲ませていた。

原田麻友が原田日菜の言葉を信じ、本当に彼女の...

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