第31章 転生できない

中川菜々美の姿も、次第に透き通り始めた。

中川心春は中川菜々美が消えていくのを見て、中川誠司の胸にうずくまり、声を上げて泣きじゃくった。

しばらくして、原田麻友の顔色が変わった。

そして、中川菜々美の姿が再び現れたのだ。

中川家の人々は、中川菜々美がまだ冥界へ行っていないことに気づき、さらに原田麻友の様子がおかしいのを見て、心に不安がよぎった。

「麻友、何かあったのかしら?」

彼らは娘に逝ってほしくはないが、それ以上に、娘が転生できないことなど望んでいなかった。

原田麻友はため息を一つ吐いた。「彼女はまだ寿命が尽きていない。鬼使いは彼女を冥界へ連れて行けないの。陽間に留まること...

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