第36章 少し偏っている

傍らから中川裕大が口を挟む。「麻友さんが俺の妹だったら、絶対にちゃんと守ってやるのに。誰にもいじめさせたりしない」

「俺は間違いなく世界一の兄貴になる」

「だって、こんなにいい妹がいてほしくないやつなんていないだろ」

原田渉は「……」と黙り込む。

自分が当てこすりを言われていると感じた。

原田渉は歩み寄ると、中川裕大の肩を掴んで原田麻友から引き離した。「麻友は原田家の娘だ。原田家の血が流れている」

「中川さんが麻友を気に入ってくれて、俺たちは嬉しい。だけど麻友には父さんも母さんも、それに兄貴もいるんだ」

彼は「兄貴」という二文字をことさら強調した。

中川裕大はわざ...

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