第70章 道家の符文

猛スピードで走る車の中、原田美紀子は恐る恐る後部座席に目をやった。

車の後部座席では、原田麻友が真ん中に座っており、その両隣は空席だった。

だが、空いているはずなのに、彼女にはそこに何かがいるように見えた。

原田美紀子はさっと顔を前に戻し、視線を逸らした。

「もし怖いのでしたら、無理に私と一緒に来なくてもよかったんですよ」と原田麻友が原田美紀子に言った。

その墓は寧城市にあり、江城市からさほど遠くはない。車なら三時間ほどで着く距離だ。

原田美紀子は即座に首を横に振った。「だめよ、あなた一人で出かけるなんて、心配で仕方ないわ!」

原田麻友は「……」と黙り込んだ。

専属運転手の中...

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