第90章 麻友を侮ってはいけない

原田麻友は寝室に戻ると、リュックを脇に置き、ベランダのクッションの上に胡坐をかいた。

これまであまり姿を見せなかったシステムが、不意に現れた。

システム:【宿主、感情の起伏が激しいですね!】

原田麻友:【別に!】

システム:【あなたの……いえ、何も感知しておりません】

強烈な生存本能が、システムに即座に言葉を訂正させた。

システム:【宿主、本当に鬼の廟へは行かないおつもりですか?】

原田麻友:【……】

システム:【本当は行くんでしょう?】

原田麻友は依然として目を閉じたまま、表情に何の変化も見られない。

システムはしばし沈黙し、再び続けた。【宿主、お...

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