第96章 私は必ず知りたい

宮本直樹は俯きがちに口を開いた。「俺……以前は静香のことが本当に好きで、大学を卒業したら結婚するつもりだったんです。でも……」

彼はゆっくりと顔を上げた。「でも、直美と出会った。それで、恋ってこんなに熱くなれるものなんだって気づかされたんです。直美に会えないと、彼女のことばかり考えてしまう。毎晩、夢にまで出てくるんです」

しかも、頭の中ではずっとある声が彼に告げていた。

彼が人生で最も愛しているのは、谷口直美だと。

彼は谷口直美だけを愛していると。

「それで、元カノと別れて、直美にアプローチを始めました」

「このことは、直美は何も知りません」

谷口直美は顔を青ざめさせ、両手で顔...

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