第9章

夜明け前、部屋は静になっだ。

私は羽田延太の胸に寄りかかり、彼の穏やかな心音に耳を澄ませていた。

「そういえば、大事な話があるって言ってたよね?」

ふと思い出して訊ねる。

羽田延太の身体が微かに強張った。

「あなたの秘密、もう気づいてるよ」

私は羽田延太の瞳をまっすぐに見つめた。

「そんなに私に近づいてきたのも、その大事な話のためでしょ?」

羽田延太の呼吸が一瞬止まる。

「……何を、気づいたんだ?」

「私は周囲の超能力の発動状況を感知できるの」

私は静かに告げた。

「あなたが頻繁に分身の術を使って、私を監視していることに気づいてた」

羽田延太はしばし...

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