第11章

俺は本田安奈が背負っている薬箱に目をやり、尋ねた。

「その中に胃腸薬はあるか?」

本田安奈は首を横に振り、薬箱に胃の薬はないと示した。

「おじさん、ここで長くは留まれません。三船亜由美さんたちが待っています」

本田安奈は痛みを必死に堪えながら、その瞳に不屈の光を宿らせて言った。

俺は深呼吸を一つして、決断を下した。

「本田安奈、お前はここで少し休んでいろ。俺は高台へ行って水源を探してくる」

しかし、俺の言葉が終わるか終わらないかのうちに、本田安奈は俺の手首を強く掴み、きっぱりと言った。

「いえ、一緒に行きます。絶対に離れてはいけません」

彼女の眼差しには、拒むことのできない...

ログインして続きを読む