第252章

医師としての彼女は、身体を故意に傷つけるようなその行為に対し、明らかに嫌悪感を抱いていた。

「本田安奈、俺たちが命を尊ぶからこそ、この苦痛を甘んじて受け入れるんだ」

伊藤太陽の声が入り口から響き、室内の静寂を破った。彼は戸枠に斜めに寄りかかり、微笑みを浮かべて本田安奈を見つめている。

本田安奈は彼を軽く一瞥しただけで、何も答えなかった。

俺は彼を直視し、問いかけた。

「怪我の具合はどうだ? もう歩けるのか」

「本田安奈の薬草のおかげさ。生き返った気分だ」

伊藤太陽はそう答えた。

「まだ身体は弱っているが、生き延びるには問題ない」

「弱ってるなら、戻って大人しく寝てろ」

俺...

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