第253章

しかし、どうしても解せないことがある。なぜ奴は突然、大人しく捕まったんだ?

残りの二人にしてもそうだ。奴を救出しようとする素振りさえ見せなかった。一体、どういうつもりなんだ?

数々の疑問が脳裏にこびりついて離れない。俺は石段に座り直し、眼前に広がる闇をじっと凝視した。

伊藤聡平の帰りを待つしかないか。奴なら、この胸のつかえを取り除いてくれるかもしれない。

俺は石段に腰を下ろしたまま、身じろぎもせずに待ち続けた。やがて、視界に伊藤聡平の姿が再び現れる。

彼は俺が外に座っていることに気づくと、驚いたように声をかけてきた。

「海老原和生、どうして外に出ているんだ」

俺は伊藤聡平を見上...

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