第257章

伊藤は崖を見つめ、物思いに耽っていた。まるで遠い過去の記憶に浸っているかのように。

「キャンプに戻って休もう」

 俺はそう提案した。

 伊藤岳は頷いて同意し、他の原始人たちに声をかけて、木造船の食糧をキャンプ地へ運ぶよう指示を出した。

 庭には燻製にした魚や蛇の肉、それに塩の入った瓶が吊るされているのが見えた。

 俺と本田安奈は火を起こし、遠路はるばるやってきた友人たちをもてなすべく夕食の準備を始めた。

 食糧を運んでくれた彼らの苦労は並大抵のものではない。しっかりと労ってやるべきだろう。

 焚き火を囲み、焼き魚を突き、蛇肉のスープを味わう。

 一人当たりの量は多くないが、立...

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